外国人技能実習生制度と特定技能制度の違い
「外国人技能実習生制度」と「特定技能制度」は、名称が似ているため混同しやすいですが、目的や運用方法において異なる制度です。
それぞれの制度は独自の目的と特徴を持っており、日本での外国人労働者の受け入れにおいて重要な役割を果たしていますが、利用する際にはその違いを十分に理解することが重要です。
六次産業協同組合は両制度に対応しておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
- 目的
- 外国人技能実習生制度: 主に発展途上国の労働者に対して、日本での実習を通じて技能を学び、自国での雇用創出や技術向上に貢献することを目的としています。
- 特定技能制度: 日本国内の産業分野で人手不足を解消するため、特定の業界で即戦力となる外国人労働者を受け入れることを目的としています。
- 活動範囲と期間
- 外国人技能実習生制度: 実習生は指定された企業で最長5年間、特定の技能を学ぶために働きます。
- 特定技能制度: 特定技能1号は最長5年、特定技能2号は更新に制限がなく、長期的な就労が可能です。
- 就労条件と支援体制
- 外国人技能実習生制度: 実習生は教育としての側面が強調され、実習期間中には監理団体が支援を提供します。
- 特定技能制度: 就労者としての地位が与えられ、業務遂行に必要なサポートが就労契約に基づいて行われます。家族帯同の可能性も含め、より柔軟な生活支援が用意されています。
- 対象者とプロセス
- 外国人技能実習生制度: 主に新興国の若者が対象で、日本の企業や団体による厳格な管理のもとで実習が行われます。
- 特定技能制度: 技能や経験を持つ外国人が対象で、より広い産業分野での活動が可能であり、職場での即戦力として期待されます。
以下は「特定技能制度」の簡単な概要になります。
特定技能制度の概要
特定技能制度は、日本の産業分野における労働力不足を補うために2019年に導入された新しい在留資格です。この制度は、特に人手不足が顕著な分野において、外国人労働者が技能及び経験を活かせるように設計されています。
特定技能1号と特定技能2号の二つのカテゴリーがあり、それぞれ異なる技能レベルと活動範囲が定められています。
主な目的
特定技能制度の主な目的は、介護、建設、農業、飲食料品製造業など、特に労働力不足が深刻な産業分野において、必要な技能を持つ外国人労働者を受け入れることです。これにより、これらの産業の維持・発展を促し、日本経済の活性化に貢献することを目指しています。
特定技能1号と2号の違い
- 在留期間
- 特定技能1号: 最長5年までの在留が認められており、家族帯同は基本的に認められていません。この資格での永住や家族の呼び寄せは不可能です。
- 特定技能2号: この資格を持つ者は、更新に制限がなく長期間の在留が可能であり、家族帯同も認められています。つまり、配偶者や子どもを日本に呼び寄せることができます。
- 就労範囲と昇格の可能性
- 特定技能1号: 限られた範囲内での単純労働が認められています。専門性が高まると、特定技能2号への昇格が可能になる場合があります。
- 特定技能2号: より高度な技能や知識が必要とされる職種に就くことができ、管理職や技術指導職など、より専門的な役割を担うことが期待されます。
- 要件と試験
- 特定技能1号: 日本語能力試験及び特定技能試験に合格する必要があります。
- 特定技能2号: 特定技能1号で一定期間働いた後、追加の試験や要件を満たすことにより資格を得ることができます。この段階ではより高度な専門知識や技能が求められます。
- 目的と役割
- 特定技能1号: 短期間での労働力不足の解消を目的とし、主に単純労働を行います。
- 特定技能2号: 長期的な技術力の向上と、その産業分野における専門職としての役割を果たすことを目的としています。
このように、特定技能1号と特定技能2号は在留期間、就労範囲、昇格の可能性などで大きな違いがあります。これにより、日本でのキャリア計画や生活設計においても異なる選択が可能となっています。どちらの資格も日本の産業のニーズに応じて設計されているため、適切な資格選びが重要です。
制度の流れ
以下の表は、各業界で要求される専門的なスキルをもった外国人労働者を受け入れるための職種のリストです。
これらの職種では、特定技能1号および特定技能2号の資格がそれぞれ求められ、職種によってはさらに高度な技能が必要とされます。
職種カテゴリ | 具体的な職種 |
---|---|
介護 | 身体介護、日常生活支援など |
ビルクリーニング | 建物内の清掃業務 |
建設 | 型枠施工、鉄筋施工、左官など |
自動車整備 | 日常点検整備、定期点検整備 |
航空 | 地上走行支援業務、航空機整備 |
宿泊 | フロント業務、客室管理、接客 |
農業 | 農作物の栽培、畜産業 |
漁業 | 漁具の操作、水産動植物の採捕、養殖業 |
飲食料品製造 | 食品の製造・加工 |
外食業 | 飲食物の調理、接客、店舗管理 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 鋳造、ダイカスト、機械加工、プラスチック成形など |
造船・舶用工業 | 溶接、塗装、鉄工、機械加工、電気機器組立て |
制度の流れ
- 業界団体の設定: 関連産業団体が外国人労働者の受け入れ基準を設定。
- 試験と評価: 特定技能試験及び日本語能力試験が実施され、資格を有するかを評価。
- 就労契約の締結: 試験に合格した外国人と受入企業との間で就労契約が結ばれます。
- 在留資格の取得: 特定技能の在留資格が付与され、日本での就労が開始されます。
特定技能外国人のメリット
特定技能外国人は、日本での正式な就労機会を得ることができ、経済的自立を図るとともに、専門技能をさらに磨くことができます。
また、特定技能1号の資格取得者は最大5年間、日本で働くことが許可され、一定の条件を満たせば特定技能2号への移行も可能です。
受入企業のメリット
受入企業は、人手不足が深刻な分野で必要な人材を確保することができます。また、多様な背景を持つ外国人を雇用することで、新しいアイデアや技術が導入されることも期待され、国内外の市場での競争力強化に寄与します。